高齢化時代のコンパクトリフォーム、リノベーション
[4人に1人が高齢者]
日本の総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は2017年に27.7%と世界でも最も高くなりました。さらに5人に1人は70歳以上です。独り暮らしの高齢者も増大しています。それに伴い、65歳以上の住宅内の事故は交通事故の6倍にもなっているとのことです。
[ヒートショック]
住宅内の事故では、階段からの転落や転倒に加え、ヒートショックによる死亡もあります。暖かい部屋から寒い廊下に出たとき、トイレや浴室など、部屋の寒暖差によるヒートショックによって心筋梗塞や脳梗塞をおこすことがあります。このヒートショックによる年間死亡者数は交通事故死亡者数の4倍以上(2015年)にもなるといわれています。
独りまたは夫婦だけで住むのに、全ての部屋を暖房、冷房をするのはもったいないので一部の部屋だけを行う気持ちはよくわかるのですが、これはヒートショックのリスクを高めることになります。
[コンパクトリフォームで改善を]
古い家のリフォーム、リノベーションでこれを改善するには家の断熱化が必要なのですが、家全体の断熱化を行うには工事も大がかりになり、費用も多く必要になってきます。そのため、キッチンやトイレ、洗面化粧台を新しくきれいな製品に取り替えるといった家電量販店でもやっているようなリフォームに落ち着きがちです。
このようなとき、将来的に生活を見直し、思い切って「コンパクトリフォーム」にふみきることも一つの方法です。
寝室から廊下、トイレ、浴室への動線、居間、キッチンへのルートを床の段差も寒暖差もないようにする。日常使わない部屋を分けて、最小限の使う部屋だけに限定する。生活ゾーンをコンパクトにする。そして、これらの日常使うエリアを囲うように断熱化を図っていきます。子どもたちが独立して空き部屋となっている2階のエリアとはしっかりした断熱ドアで仕切り、断熱エリアを限定します。場合によっては、工事費はかさみますが、2階建てを平屋にする、家の一部を取り除くなどの「減築」の方法もあります。
マンションの場合は、トイレ、浴室などの改修とともに、3LDKから2LDKに、2LDKから1LDKに改修するなど部屋数を減らしてシンプルにすることも考えられます。
家の断熱化によって、暖房効率を上げて、冬のヒートショックのリスクを下げる。冷暖房効率を上げて、夏の熱中症を防ぐ。
リフォーム、リノベーションの際には、予算の中で断熱化の工事が組み込めるかどうかぜひ検討しましょう。